守り神との契約編〈1〉 メレメレ島~アーカラ島


introduction

 マリエヌ達が『島巡り』を達成し、メランコリィ達ウルトラビーストとの戦いが終息して数ヶ月が経過した。
 国際警察の支援により地方各地の復興が速やかに進められ、アローラ地方はかつての和やかな人々の営みを取り戻していた。
 マリエヌ達島巡りメンバーはそれぞれの生活に戻りながらも、時折顔を合わせては依然として世界に迫る異常事態の謎を追い続けている。

 そして、マリエヌの本来の目的である海外研修の授業が本格的に再開することとなる。それぞれの事情と夢のため、日々魔法の鍛錬に励む研修メンバー達。
 一度は非常事態に巻き込まれながらも、アローラ地方の自然とポケモン達に適応することで乗り越えた彼らには、実は重大な役目が待っていた。
 やがてアローラの神々に選ばれし子供達は、全ての宇宙を飲み込む世界の危機へと直面する――



メレメレ島 ハウオリシティ


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 ハウオリシティはずれのスクールでは、本来の目的である海外研修の授業がようやく再開する。
 授業の中でパッシィによりマリエヌ達研修メンバーに課せられたのは「アローラ地方の土地神である『カプの守り神』と契約し、異文化のエネルギーの成り立ちを理解すること」だった。

 初代アローラチャンピオンとなったことで一度メレメレ島の土地神・ヘキリジスと戦って以降、その後も度々彼と手合わせをするようになっていたため今回の件を伝えようと戦の遺跡へ向かおうとしていたところ、偶然メレメレ島に訪れていたヘカティネアが遺跡に興味を示し研修メンバーと共について来ることになる。


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メレメレ島 スクール校舎



 パッシィの言ったアローラ地方での課題を行うための模擬テストを行うが、全てのテストを合計した結果アリアだけ実技の点数が足りなかった。
 後日アリアには追試が行われることになるが、それに合格できなければいよいよ彼女だけを残して研修を再開することになってしまう。
 全員で研修に臨むため、マリエヌ達はなんとかしてアリアが追試に受かるよう対策を考え始める。

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メレメレ島 リリィタウン~メレメレの花畑


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 リリィタウンに来たマリエヌ達研修メンバーは、先日、戦の遺跡に訪れた際に壊してしまった橋を修理してくれているアンナと彼女の幼馴染の青年・トワイと出会う。
 トワイはエーテル財団に所属している財団員らしく、普段はワゴンでアローラ地方の各地を回っているのだが最近休暇を貰ったらしく故郷のリリィタウンに帰ってきたのだった。
 研修メンバー達が海の向こうから海外研修のためにやってきたことをアンナに教えられ、目を輝かせて応援する気のいいトワイにマリエヌ達もすぐに打ち解けていく。

 日が暮れてきた頃、メレメレ島に来ていたメルティオとアポラティオに「一緒にきていたはずのヘカティネアがどこかに行ってしまった」と聞かされ、メレメレ島での土地勘が強いトワイの協力を得ながら全員で彼女を捜索することになった。


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守り神との契約 1

■Round-1 クリュッグ VS プアレヒナ
 マリエヌとヘキリジスとの契約が保留になったことにより、課題を実践するトップバッターにクリュッグが選ばれる。契約する相手となるのはアーカラ島の土地神カプ・テテフのプアレヒナであった。
 すでにアローラに現存している伝承や文献を調べ尽くしていたクリュッグは彼女の好きなものが「遊ぶこと」であることを知っており、"アローラ地方の子供達に人気の"あらゆる遊びをリサーチしたうえで命の遺跡に訪れ、試練に挑むことを告げてまずは「一緒に遊ぶこと」を切り出した。
 それを聞いたプアレヒナも大喜びで快諾するものの、かなり長い時を生きている彼女にとってはそのほとんどが何度もやったことがある遊びだったためことごとく飽きてしまう。他の研修メンバーの力を借りながら手を変え品を変え次の遊びを提案するものの、ついには試練を行うこと自体に彼女のやる気が途切れてしまい……!?
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■Round-2 アムザ VS ウェウリコ
 2番目に課題を行うのはアムザとなり、契約する相手となるのはウラウラ島の土地神カプ・ブルルのウェウリコであった。
 ものぐさで自分から人前に顔を出したがらず、かつては森を伐採した身勝手な人間達に怒り狂い罰を与えたという言い伝えを聞き、アムザは気が重くなりながらも実りの遺跡へと訪れ、姿を現したウェウリコに試練を挑む。
 最初こそ炎タイプの技で優勢になるものの、「彼を不快にさせない」という保守的な攻撃をしていることをウェウリコに気取られ、彼が地面から鈴のついた巨木を出現させると鈴の音によって己を回復させたのだった。
 「お前が全力を出せば回復する余力も与えぬほど俺を完全に『倒せた』はずだが、こんな戦いでは試練なぞ話にならん。お前のそれは認められるための努力でも分かり合うための優しさでもない、嫌われないための自己保身だ」そう言って彼は裁定を下すこともなく姿を消してしまう……
 :詳細1 / 詳細2


■Round-3 アリア VS イリュネイ
 3番目に課題を実践するアリアが契約する相手となるのは、守り神の中では最後に対面することになる、ポニ島の土地神カプ・レヒレのイリュネイであった。
 彼岸の遺跡に訪れると、数か月前の『癒しの水』の件ですでに純粋な心を持っていることが認められていたためイリュネイはすぐに姿を現し、彼女に試練を挑む。
 普段の物静かで無用な荒事は避ける印象とは一転し強力な一撃を次々に放つイリュネイに驚きながらも、高い耐久力を発揮しなら普段研修メンバー達から教えてもらっているアドバイスを駆使し、有効な戦法を見つけようと立ち回る。その意図に気付いたイリュネイが突如攻撃を止め、周囲一帯に数本の水柱と濃い霧を出現させると瞬く間に2人を覆い尽くしてしまった。
 霧の中ではイリュネイの作り出した鏡面の反射によって彼女がどこにいるのかすら見えず、彼女の声だけが響く。「ここには助言をくれる者もお手本を見せてくれる者もいない。あなた自身が考えてあなた自身の中から正解を生み出すのよ」その言葉の数々にイリュネイは自分の全てをお見通しであることを知る――
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■Round-4 ロレーヌ VS セラヴィナ
 最後にロレーヌの番が回ってきた頃にはマリエヌとの契約を保留しているヘキリジスを除き守り神全員がすでに他のメンバーと契約し終えており、自分が契約する相手がいない状況となっていた。
 パッシィに言われてその後の他のメンバーの様子を観察していると、契約によって守り神の魔力を引き出すことができるようになったものの、力加減を制御できていなかったり一般人の前でも実体化しかけてしまうというハプニングの連続であった。
 そしてパッシィから切り出された本題は「守り神の力をコントロールするために『ある人物』と契約すること」だった。
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■Round-5 ヴィンリア VS オルドール
 研修メンバー全員が契約を果たしたのを見届け、ヴィンリアは自身も共に勉強をしてきた成果を示すため純粋な魔導士としての試練に挑むべく、オルドールとの正式な契約に踏み出す。
 コアフォルム状態になっているオルドールの指示でエンドケイブまで連れて行くと、彼は完全体に姿を変える。
 「平行世界が混ざる原因といずれは直接対峙するにあたり、パーフェクトフォルムになるため契約する必要がある。それは同時にお前の使命ももう後戻りはできなくなることを意味する」そう告げる彼の声はかつて自分の正体を明かした時と同じだった。
 これまではカクタスに言われたことを言葉通りに理解していただけだった。だが『島巡り』を乗り越え、研修メンバー達の人生を知り、自分が守ろうとしている世界がどんな世界なのか、どんな景色なのか、どんな生活なのかを実感を持って知ることができた。だからここから先は自分自身の覚悟で進むのだとヴィンリアは答えるのだった――
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守り神との契約 2

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 今回は課外授業の一環として、アーカラ島のせせらぎの丘でラクネアによる講義を受けることになった研修メンバー。
 仕事を終えて海辺でサーフィンをしていたトワイと会い、彼も加えてラクネアのもとへと向かう。
 期待に胸を躍らせるクリュッグとアムザそしてトワイにロレーヌが呆れながらも、以前転移させられた際に匿ってもらった場所にある種の懐かしさを感じていた。湖に棲むヨワシ達も顔見知りのロレーヌに反応を見せるが、次々に別の池へと泳いでいってしまう。その姿を見たマリエヌとヴィンリアはかつての『島巡り』の試練と同じであることに気づき、一行はヨワシ達の後を追っていく。
 次第に空は曇り出し大雨の嵐に見舞われる。ついに湖の奥へと辿り着くとそれまでに目にしたヨワシ達は水の中で一斉に群れを成し、巨大な影から現れたのは――研修メンバーを待ち構えていたラクネアだった。

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守り神との契約 3


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 次にパッシィの依頼で課外授業を行うのはヴェラ火山公園で待つオニキスだった。
 特殊魔導の素質を持ち“黒魔術”という特殊な部類の魔法を使う彼から、その実態を教わることとなる。
 基本的に教本や文献、先達の理論をなぞる形で魔法を使っている研修メンバーに対し、オニキスは「自分にとって使いたい力がどんなものなのか、そのために必要なものは何なのか、自分の中でイメージをはっきりさせることが恐らく重要」と説明する。
 その実践として告げられたのは、火山に感謝を捧げる踊りを行うことだった。「感謝がはっきりと伝わらないと火山は応えてくれないからな」と何故か上機嫌に話すオニキスに、マリエヌとヴィンリアはかつての『島巡り』の時の意趣返しかと考えるものの、仕方なく全員でダンスの練習を始める。

 そんな中、ルガルガンの男がオニキスを狙ってついに白昼堂々と姿を現す。


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